しーもんのふぇてぃっしゅなはなし5: コアラの行進曲(マーチ)<後>

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[5]コアラの行進曲(マーチ)<後>

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ァガったトコロでイキもしない。

ソンな初老のオトコは、スティングの
「タントラセックス」を彷彿とさせるテクニックで
自身のクライマックスと自制とを繰り返していた。



ベポライザーで立て続けに吐かれる煙がスモークのように
部屋に充満してくれば、全裸のオトコに触発された
であろう大学生が自分のものを触りはじめ、

コレがキッカケになったのかは定かではないが
その横にいる女装子が物欲しそうな目で彼をサポートし始める姿に
はじめて自分が、今までに無い違う「段階」の
”得体の知れないモノを見ている。”と察知した。




途端、隣の熟女にいきなりクチビルを押し当てられ、
洋服なんて関係ないといった風に
胸をぐちゃぐちゃに揉みしだかれたその刹那
少女の笑い声が聞こえたのが合図かのように
友達の女王様が仕事着を脱ぎはじめる。

一人の女子高生は初老のマスターのもとにいき、
自慰の手伝いをハジめようとしたが彼に手で振り払われ、
むくれた顔をして基の場所に戻って中央に用意されていた雑誌をひろげる。

彼女は皆より少しサービス精神が旺盛だっただけなのに、かわいそう、、、
ボンヤリと思いながら、目を移す。

もう一人は友達には構うことなく、大学生のトコロにいる
女装子の乳首を「若さゆえの好奇心」からなのか、舐め始めた。




はじめはマスターの吐息だけだったハズなのに、
今では彼とともに、そこにいる誰もが吐息を漏らし始めていた。

汗と体液と湿気と酒が煙と混じった匂いは
ほろ苦く、そして甘い。




遠くの大画面で他人の性交が早送りで蠢く中、
外見以外一切の情報が閉ざされた妙な集まりの団結力は、
全員の当初の「決意」とまったく違う方向に動き出しはじめている。


と、視線が絡み合う。




マスターの視線があたしに集中していることに気付いたのは
そのトキだった。


気付けば、彼はあたしを見ながら、手を動かし続けていた。



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イ、ケ、、、 ナ、イ 。

美女に舌を絡ませられながら瞬間に思った。



なんとなく、だった。
この場が、得体の知れない「乱交のようなもの」に発展する気がして、怖くなる。


乱交がイイとかワルイとかそんな次元のハナシではなかったし、
この場に、イケナイモノなんて、ヒトツもなかったはずだったから、
上の「イケナイ。」は、「ダメ。」という一般の解釈とは違う。

紳士の自慰も、ゲイの大学生も、女装子も、女子高生風の二人も、
杉本彩に似ている妙齢の美女も、友達の女王様も、あたしも、
なにも、間違っていない。




このまま全員がこんな具合で個人個人調子に乗って
自分の快楽を追究したところで何か楽しいのだろうかと考えてみる。

楽しみは、あるのかも、しれない。

だけど少なくとも、現状のあたしには少しも楽しめないと思っていた。




つまり、あたしはただただ漠然と、
あたしの全てをカケても、ココでは、

イケ、ない。

んである。




でも、その場の空気を楽しむコトなんて自分には幾らでも出来ることを
あたしは知っていたし、自分自身を楽しませるコトなんて、得意中の得意。

今だって、いつだって、そうやって生きている。
そしてそれは、どんなに辛いと感じるトキだって変わらない。



だから、イケなくても、
このまま成り行きにまかせてみよう、と思い始めている自分がいた。



いつになく冷静になっている自分を見つけて安堵したあたしは
こんな境遇のトキに
「自分の中の基本軸を保てるであろう」
いくばくかの”要素”に集中しはじめた。



杉本彩に舌を吸われながら思う、いくばくかのこと。



「表参道でまだ買い物をしているであろう、家族。」
「池尻大橋で参加したスケーターの集まりで初対面のsk8erの方から
コンな美人スケーター見たことないデス!と言われて嬉しかったこと。」
「出かける前に綺麗にたたんできた、洗濯物の山。」
「フリーメイソンの謎。」
「我が家の愛犬、マックロなラブラドールのバート。」
「人生を変えた(?)一年間のインド旅行。」
「(そのころ始めたばかりの)ヨガと瞑想と月のサイクル。」

えとせとら。えとせとら。。。





イケナイコトをしている、
とは思わなかったけれど、

イケナイモノを見ている、
という自分がいる。





自慰の後に感じる、イケナイコトしちゃったッ☆の感覚。
ソレを全身で、感じていた。

しかも、その罪悪感は自分のものではない。



他人のを見て得る、罪悪感だ。



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今度は逸らさなかった。

マスターの視線をずっと見つめ返した。




「”あたし” で、 イ キ なさい。」


愛しい彼氏を他の誰でもない、”自分”でイカせたいのと同じように。

彼を、あたしで、イカせたい。

友情や親愛の念ともとれぬ、妙な感情が湧き上がる。




杉本彩に両手で顔を抑えられキスされながら、
そんなコトを言ってるような目つきで彼を見続けた。


呼応するように、彼の手の動きが早くなる。


見ず知らずの他人が自分の顔や格好を見て手を動かす姿を直視しても、
なぜかこのときは、イヤダ、とは思わなかった。

(電車の中とかで目の前でされたトキや、友達に冗談でもオナネタにしてると言われたトキは、本気で吐きそうになるくらいヤダ!って思ったけれど)←トモダチには普通に怒った


このときは、違った。

豊臣秀吉ぢゃないけれど、
「イカぬなら、ィカせてみせよう、ホトトギス。」

そんな心境と「見られながら、手を動かされている」、羞恥心が入り混じる。




他人のあたしですらそんなコトを考えるのだから、
やってる張本人は、もしかしたら凄まじい
「罪悪感」と「羞恥心」を感じていることになる。





罪悪感と羞恥心を、快感に昇華する。

・・・そのチカラは、強大である。




自分に出来るか出来ないかは、別として、
それはものすごい、「強力」なものであるのがわかっていた。



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自覚のない「湿気」は
連鎖的に無意識に他人をも触発する。

隣の杉本彩(に似ている熟女)は濡れていて、
彼女はあたしが濡れているのを知っていたし、
多分その場の全員が、イロイロな意味で濡れていた。(と思う。)



とうとう彼女はキスをしながらあたしを押し倒し、スカートをたくし上げる。

高校生みたいなラルフローレン一色の格好に似つかわしくない
あたしのデカぃ尻が露わになって、正直、自分でも肌の白さにビックリする。

杉本彩はそんなのお構いなし、ちいさなレースの薄いソングの布一枚が
破れるかのように乱暴に手を入れて指をあてがったんだから
あたしは熟女に”思わず与えられた快感”に仰け反ってしまい、
おまけに声まで出してしまった。

隣の女王様の膝に頭を置くカタチになって、喘いでしまってそこではじめて、
「しまった」、と思った。




初老のマスターをイカせるどころか、
あたしが、イカせ、られちゃうのかも、知れない。


・・イケ、ない。・・はず、だった。
にも関わらず、

イカセ、られてしまう。のかも、しれない。




成り行きに任せようと自分を信じきった状態で
観念にも似た卑猥な期待が顔を出す。



その時だった。

マスターが逝った。




あたしが彼女を拒否りそうになりながらも脚は大きく開かれて
指先を受け入れる体制になってしまったそのトキだった。




白濁の体液を自身からダラダラと零しながら、それでもまだ、
他の誰でもない、あたしを見続けている。


イキナリ、感情が入れ替わる。
さっきの「イカせてみせようホトトギス」、なんて秀吉気分はどこへやら。

「恥ずかしい」。の感情が湧き上がる。



(見ないで、、、もぅ、これ以上、あたしのこと、見ちゃ、イヤ。。。)、

急に恥ずかしくなってマスターから視線を逸らした自分の格好は、

”美人の熟女に押し倒され、
今正に、指を挿入られそうになっているオンナ”
としか見えなかった(と思う)。

そんな滑稽な格好で、あたしはイキナリ、羞恥心を知る。




と、そのトキ、かろうじてあたしを支えてくれていた
女王様が真顔で言ったんだ。



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「コアラのマーチ、食べる?」



―― 我に 還る。



すごくすごく小さな声で隣にいる女王様からノゾきこまれるように
耳元で囁かれて、美女に舌を絡ませられながら、足を大きくひろげながら、
あたしはダマってコクリと、うなずいた。

頷くしか、なかった。



瞬間に、杉本彩がすごく悔しそうな顔をしたのを知っている。
彼女はあたしから唇を離し、起き上がって自分の下半身に手をあてがった。

そしてあたしのコトを欲しがっているのか、それとも
邪魔をした女王様を見下しているのか。
どちらともとれるような視線をぁたしたちに投げかけて、
「あぁああ」、と大きな溜息のような喘ぎ声を出し始めた。

ソレがまた、すごくよかった。

30センチ足らずの距離で観る、快感が
こんなにも迫力のあるモノだとは思わなかった。



彼女とコトをする寸前に、
見てるだけになってしまったのだけれど、それが、本当に、よかった。

それは先に挙げた罪悪感ではなく、だからといって羞恥心でもない、
ベツのモノ。

でも、単純に、画的に、すごく、いい、と感じた。




彼女のコトは、初対面だったけれども、
それだけの「印象」で言えば、スキなんだと思う。
人間的な「好み」、とでも言うのだろうか。

顔や外見も含めてだが、彼女は美しかったし、
なにより漫画のように「嫉妬」も含め、快楽の表情も、
明解で素直で、的確でわかりやすかった。

なんとなく、そんなところが本能でスキだと思っただけなのだけれど。



彼女のそれ以上を知りたいとも思わないし、
それ以下の情報などいらないも同然で、

でも、この得体の知れない全員の前で、熟女の美女と
「なにかに至る」。
「なにかに至ってしまう自分」。
「至ってしまう自分を、見ないで欲しいと懇願する自分」。

を妄想し、そんな妄想の果ての羞恥心が
あたしに彼女を拒否らせたのかもしれない。



友達の女王様は火照った手でボキを熟女から引き離して、
熟女のヨダレでべちょべちょになっているあたしにも関わらず
髪を掻きあげながら、口移しでコアラをくれた。



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「姫、食べな・・・」



恐ろしく静かで、笑ってしまうくらい妙な空気のなか、
コアラが口の中で溶けていく感覚に似た緊張の固唾を飲み込んだ。


初老の視線に犯され、熟女にズラされて
グチョグチョになったTバックをもとの位置に戻しながら。
女王様に、髪の毛を撫でられながら。


「妙なトコロにきちゃったな…。」


思いながら、
あたしはコアラのマーチをシェリー酒で流し込んだ。



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この会に関して、感想は?といわれたら、
「羞恥心」と「罪悪感」って似て非なるモノ。
って言いたいところだけれど、余りにもこの感情は漠然すぎる。

率直な感想は?と聞かれたら不思議なコトに、本当に

「 な に も な い 」。
というのが、本音かもしれない。




傍観者として感じる部分や共感できるところ以外に、
別段感動もしなければ、背徳感も、後悔も、
優越感も、羨望も、嫌悪も、なにもなかったような気がする。




でも、確実に、なにかが、あった。とも思ったりする、

でもそれが、「羞恥心」や「罪悪感」だった、
なんて全然言い切れないし、自分でも、わからないケレドモ。。。


だけど、こういうことが、あった。と誰かに話すには
このハナシは十分なハナシだと思って今これを書いている自分がいる。



初老のマスターの自慰の方法。
美女の悔しそうな顔。
ゲイの大学生の、額にかかった髪。
女装子の化粧の仕方やちょっと滑稽な格好。
女子高生風の二人の、もーなんかどーでもいい!といった感じの雰囲気。
友達の女王様の、空気を読むタイミング。

全部が全部、「自分に、忠実。」で、「自分に、素直。」



脈絡もなく、だからといってなかなか経験できない「他人の行動」で
”自分を知る”。


全てが、ごくごく僅かだけれども、
”あたしを形成する要素”
になっているのかもしれないと、思ったりするトキがある。

そして、それは、確実に、あたし自身、なんだ。






彼女からクチ移しであたしに呑みこまれたコアラはあたしの中で、
行進曲を奏でながら今日も胃袋を練り歩く。

自分の「羞恥心」と「罪悪感」が交互に行進する、マーチ(行進曲)が
今日も華麗なメロディーを奏でながら、カラダを通り抜ける。






自分にとってナニがヨクて、ナニがシアワセなのか。

ナニが恥ずかしくて、ナニに興奮させられるのか。

ナニがイケナクて、ナニがキモチイイのか。




それだけを、あたしは知っていて、
あたしだけが、知っていれば良い世界がある。

そしてそれは、皆にも同じようにあるんだ。




誰にも合わせなくて、いいよ、って思うトキがあるよ。
あたしだけが知っていれば、いいんぢゃない?と、思うの、、

だから、あたしは、自分だけに集中する。


 
歩幅をあわせて、二拍子、四拍子、8分の6拍子、、なんだって、いい。

自分のリズムで、いつだってィキて、いたい。だけ。

 

今日も、あの味を思い出して、固唾を飲み込む。


本当にわかっているのか、と問いただしたくなる
羞恥心も罪悪感もない筆者(酔ったトキ)


編集後記>以上を踏まえると、自分は
冷たくてツマラナイ奴だと思われるカモ!?ですが、(本当のコトです)
あたしLINEはインストールしてませんし、メールやDMも、滅多にしません。
(仲良いトモダチですら、デス。。>メール、DM)

ダイスキなヒトには男女問わず、直接会いにイクし、電話したりします。
自分に「素直」なんです。

なので、出逢いがほしくてブログやHP、ツイッター、
インスタグラム、FBをしているワケではなくて、、、。
(そのことはこのHP……とっても長くて卑Yな文章ダケド← 
見てくださっていたら、読んでくださっていたら、わかるハズです)
←ほぼ全員が読んでなかったりして!キャハ☆(悲しい事実)

あたしの「顔」や「画像」ぢゃなくて、、、
ココやアソコに綴る、そんな他愛のない「文字」で。

「あたしに興味を持ってくださる方」が、
単純に、そしてただただ、愛おしい、と思うまでです。

めんどくさいおんなで、本当にごめんなさい☆


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