しーもんのふぇてぃっしゅなはなし4:宇宙の縄<前>

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[4]宇宙の縄。

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彼は最初から、店に入ってきたときから、
「タダモノぢゃなぃォーラ」がぁった。

サングラスの奥に光る眼と視線が交差した、瞬間、一瞥。

女王様なのに、ボキは怖くなって思わず下をうつむいた。

 
国立国会図書館デジタル化資料より
エロエロ草紙/昭和5年/談奇群書/ 第2輯/酒井潔 著

怖い。

兎に角なんか存在が凄かった。

 

だから彼が最初にボキを指名してきたトキ、
ボキゎ15センチヒールで堂々と闊歩するはずの女王サマなのにも関わらず、
得体の知れない怖さでマンガのように飛び上がった。

 

おそるおそる、彼の隣に座る。

どうやら、彼は「SM業界では知らない人はいない」と言われる、
「縄の大御所」、、、

「縄師」

らしかった。

 

70歳くらいのオジーチャンは名を松木(仮名)といって、
常連サンなんかとも顔見知り、
国内だけでなく世界でもSMやらフェティシズムな業界でゎかなり有名な方だった。

道理でマスターゃら常連さんゃら他の先輩女王様も、ハハーッ!って成ってたワケだ。

 

縄のフェティシズムの文化は相当昔からあったのゎボキも知っていたし、
かつては拷問がその発端だった、なんてのも知ってたけど、

縄に関してはそこまで興味がなかったボキ。

 

物静かに愛用の縄をシゴぃてなめす、ソンな彼の慣れた手さばきを
猫ぢゃらしにァワせて目をクリクリ動かす猫よろしく、
隣でただただキョロキョロ、ぱちくりするだけだった。

 

「タバコとって」、「火ぃつけて」、「お酒持ってきて」
…ときて、

ボキをいきなり「じっ。」と黙って見つめた。

「ぉまぇ、、、縛っても、いいか?」

 

…!!!

 

ヒールが高すぎる靴のせいなのか、
緊張のせいか

足がガクガクした。

 

正面から腰をガッシ!と掴まれ、
尻を両手で分け拡げられて揉まれた。

お年を召しているのに、凄い力だった。

 

突然のことに驚いてナニもいえないボキの
腰からウエスト、胸、鎖骨までなぞるように撫で上げ、
首をグッと締め上げてグッと小さなァゴを持ち上げられた。

 

「…ン、ん…っ…」

首ねっこを締め上げられたボキは声が出ない。

ァゴを上げられた状態で、目を見開く。

顔が真っ赤になり、血が溜まっていく。

それだけで、既にォチそうになってぃた。

 

「ぃぃ骨してるね、ォマェゎ綺麗な骨格してるんだね」

猫に話しかけるように

やさしく静かに

ォジーチャンゎボキに語りかけて、

首から手を離した。

 

抑えられていた血がドっと逆流して全身に流れ出す。

 

沢山のオンナノコを裸にして縛ってきた彼には、
ぃぃ骨格と悪い骨格がぁるらしくて、

骨格で人間が決まるだとか、
ソンなコトまで言ってぃたケド、

ボキゎ怖すぎて、全く上の空。

 

ただただ、サングラスの中の目を一生懸命探すばかり。

 

 

ボキは、縄に関しても、彼に関しても、

暗闇の中で、

思いっきり、

迷子になった。

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